ソレイユ　福生

一度食べたら、すっかりハマる「クロワッサンコロネ」。驚きのサクサク食感は、他にはない。クリームとのコラボをぜひ

　北海道産の国産小麦粉に、青梅の自然豊かな場所で厳選された餌を食べてストレスなく育った鶏の卵、北海道の根釧地区産の生クリーム、北海道産のてんさい糖、沖縄産の天日塩をメインに、フランスのゲランドの塩、ヒマラヤ岩塩、よつばの成分無調整バターと、山口さんは徹底して無添加で、自然に近い素材を使ってパンやケーキを焼く。
「パンは毎日、口にするものですから、安全面にはできる限り、こだわっています。全てをオーガニックにすると価格設定上、日常でご利用いただけなくなり、それでは意味がないので、できる限り、最大限のものをと考えています。なるべく無添加で、身体に負担がないものを提供できればと考えています」
　こう話す山口さんに、店のお勧めを聞くと、「別に、特に、何も……」と謙虚なのか、引っ込み思案なのか。しばらく考え、「あっ！」と出て来たのが、カレーパングランプリで金賞を取った、「季節の野菜チーズカレー」だ。ふわふわのやさしい味わいのパンの中に入った、スパイスの効いた濃厚なカレーがたまらなく美味しい。野菜の食感と溶けたチーズの味わいと相まって、これは１個では止まらないと確信。すぐに２個目を食べたくなる、やみつき系パンだ。
　店の「売り」となる商品が、「クロワッサン コルネ」だと言う。
「ポイントは、サクサクに芯まで焼き込んでいることです。中に詰めるクリームは、注文を受けてから詰めたてをご提供します」
　クリームはカスタード、チョコ、抹茶がレギュラーで、季節によりフランボワーズやマロン、カボチャなどが加わる。一番人気のカスタードをいただいた。音がするほどの驚きのサクサクの食感、芯までカリカリに焼いてあるため、とろりとしたクリームが詰めてあるのに、全てがサクサクなのだ。天然マダガスカル産のバニラと産みたての自然卵を使った、カスタードクリームが、とにかく素晴らしい。優しい甘みで、くどさも人工的な味も皆無。素材の味をたっぷり味わうカスタードクリームなんて、初めてだ。サクサクとしたパイのようなクロワッサンと、とろりとしたクリームを同時にいただくという、奇跡のコラボがここにある。

お祝いにぴったり、「フルーツデコレーション」。3日前までの予約が確実。やさしい甘みにとろけたい

　山口さんはケーキとパンを作れる、稀有な職人でもある。
「パンもできて、ケーキもできる人はあまりいないと思います。その意味で、引き出しの多さが唯一の強みなのかなと。お客さまのご要望に、柔軟に合わせることができますから。うちのケーキの特徴は、素材の味を大切にしていること。そうすると、自然に調味料は少なくなるんです。薄味になるというか」
　店で使う砂糖を、さとう大根を原料とする「てんさい糖」にしているのは、クセがなく、優しい甘さだから。サトウキビを原料にしたものよりも、優しい甘さになると言う。サトウキビのものより血糖値の上昇が緩やかで、身体を温めるという健康面での利点もある。
　山口さんは素材一つ一つの利点や役割を理解した上で、独自の製法を組み立てる。
「うちのスポンジ生地は、砂糖は少なめで、小麦粉は基本の配合の約半分です。小麦粉が少ないので柔らかい食感となり、卵とバターの風味がより強く出る製法になっています」
「ガトーショコラ」はチョコならではの甘さが口中に広がり、ふわふわのチョコスポンジがしっとりと溶けて行く、優しい味わいのケーキだ。「パッション フランボワーズ」は表面にパッションフルーツの薄いゼリー、その下にバニラムース、２層のショコスポンジの間に、フランボワーズの酸味の効いたムースが挟まれた、なんとも贅沢な仕立て。フランボワーズの甘酸っぱさにバニラムースが絡み合い、チョコの風味も味わえる。それぞれの味が一つにまとまり、その余韻たるや、うっとりとしてしまう。
　安心素材の優しい味わいのケーキ、そしてパンが福生にやって来てくれたことを、心から喜びたい。