人は誰でも加齢と共に、聴力が衰えるという。聞こえにくいことを我慢しても、いいことなし。女性店長が娘のように、孫のように、「聞こえ」のために、親切丁寧にサポートしてくれる、アットホームな補聴器専門店が牛浜駅前にある。
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おしゃれでキレイ、女心をくすぐる美しいデザインの「フラワーセレクション」は女性に好評。とても補聴器とは思えない、斬新さだ
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補聴器を胸のポケットに入れ、イヤホンを耳に入れる「ポケット型」。パワーは強く、重度難聴の方に適している
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ここで、聴力の検査を行う。この聴力データに基づき、生活状況等を考慮し、それぞれの人に最適の補聴器を選んで行く
店長からの一言
野呂朋子さん
補聴器を使うことを恥ずかしいと思っている方が多いのですが、気軽に来ていただいて、聞こえる喜びを味わってほしいと思います。アフターケアを含め、いくらでもお付き合いをいたします。娘として孫として、お客さまに接していけたらいいなと思っています。「聞こえ」の悩みがあるようでしたら、どうかお気軽に一度、いらしてみてください。
基本情報
店名 | 福生補聴器センター |
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住所 | 福生市牛浜92-1 |
電話 | 042-539-1103 |
営業時間 |
10:00~18:00 (月~金)10:00~17:00 (土) |
定休日 | 日曜、祝日 |
駐車場 | 2台 |
カード使用 | 不可 |
URL |
ストーリー
補聴器のハードルは高くない
人は誰でも、年齢とともに聴力が下がるのがほとんどだという。とはいえ聴力に不安を感じたとしても、補聴器をつけるとなると、最初は尻込みをしてしまうのではないだろうか。老いた感じもイヤだし、補助を受けることで本来の機能が弱まるのではという思い込みもある。そう、それは思い込みに過ぎなかったことがお店に来ればよくわかる。
青梅線沿線で唯一の補聴器専門店としてオープンし、今年で10年。修理などすぐに対応できる利点をもつ国内メーカーである、リオネット補聴器の専門店だ。
店長の野呂さんは若いながらも補聴器技術者として20年近いキャリアを持つ、飾らないさばさばとした笑顔が気持ちのいい女性だ。「我慢すると、逆に聴力が落ちるんです。脳への刺激が減り、言葉の明瞭度も落ちてきます。補聴器できちんと音を聞かせてあげることで、聞こえがいい状態が逆に続いていくのです」と聞き、びっくり。目からウロコとはこのことだ。つまり、積極的に補聴器を利用した方が後々のためでもあるのだ。
一人一人異なる、"聞こえ"の状況
野呂さんは「とにかく、気軽に立ち寄って」と呼びかける。まず「記録カード」に沿って丁寧に状況を聞いた上で、聴力検査を行い、聴力のデータをもとにその人にあったタイプの補聴器を選んでいく。難聴の程度、仕事の有無等、その人その人の生活状況も踏まえ、最も合った補聴器をお客と一緒に探して行く。補聴器のタイプを決めれば、その人その人の聞こえの状況に合わせて、細かくパソコンで機能を調整する。
「お店は静かですが、家に帰ってからどうなのか。高い音が響く、紙の音がうるさいなど、付けた後にいろいろ不具合が出てきますからその都度、その都度、調整します。お家に伺ってお家の生活音を踏まえ、調整することもあります」と野呂さん。出張料含め、アフターケアのお金は一切取らないと聞き、またびっくり。つまりお客が払うのは、修理の部品代などを除けばほぼ、補聴器代のみといっていい。何と良心的な対応なのだろう。
「お客さまが補聴器を付けた時、『あー、聞こえるー!』とうれしそうにされる。そのお顔を見るのが喜びです。補聴器は安い買い物ではないですが、細かく調整していけば10年でも15年でも使えます。そのためには、いくらでもお付き合いをしますよ」と野呂さん。娘のよう、孫のようと高齢者から頼りにされ、「ここに来て、よかった」と喜ばれるのも、野呂さんの飾らない人柄と誠実な仕事ゆえのこと。
そうか、だからここはあたたかい日だまりのような、居心地のいいサロンなのだ。躊躇している多くの高齢者に、心から「ぜひ、扉をあけて」と声をかけたくなってくる。
「聞こえる!」という、喜びの声が聞きたくて
たまたま入った、補聴器の世界
野呂さんは高校卒業後、リオネットの補聴器メーカーの製造部に入社した。そこで3年間、補聴器の製造に関わったことが、結果として今の自分に大いに役立っているという。甥っ子2人が生まれつきの難聴だったこともあり、野呂さんの父の勧めで入社したのだが、「たまたま入ったのが補聴器の世界でした。甥っ子たちのこともあり、補聴器に携われればいいかなとそんな程度だったのですが・・・・」と振り返る。
10年前、父が福生に補聴器専門店を開くに当たり、研修を受け、20代半ばという若さながら「補聴器技術者」として、店長となり店を担うこととなった。「皆さん、最初会った時、私のことを事務員だと思うようですが、『これでも、一応20年のキャリアがあるんですよ』と言うとホッとされるようです。補聴器の構造が分かるというのは、強みだと思っています。ただ研修を受けただけとは違う」と野呂さん。故障時の対応はもちろん、細かな調整、機種選定でもその経験は大いに発揮されている。
どうか、無理して我慢しないで
野呂さんと話していて気づくのは、はっきりゆっくり、わかりやすく話すことだ。「甥っ子たちと接してきたからか、口を大きく開けてゆっくり大きい声で話す習慣があって、そのおかげか、お客さんから『あなたの声はすごくはっきり聞こえやすい』と言われますね」と、野呂さんの仕事は「聞こえない人たち」との対話に始まり、対話に終わるものだ。
その中で野呂さんが感じるのは、聞こえないことを我慢する生活はとても寂しいものだということ。「聞こえてないから適当に返事するしかなく、電話が聞こえなくても相手に悪くて、『大きな声で話して』と言えない。家族の会話に付いていけず、家族がいてもひとりぼっちで寂しい毎日を送っている」と。だからこそ、恥ずかしがらずに補聴器を使ってほしいと願うのだ。補聴器を初めて耳につけた時は「目立ってイヤ。恥ずかしい」と言うが、一度使えば、もう手放せなくなる。だって、聞こえない毎日より、聞こえる方が格段に素晴らしい。コミュニケーションの楽しさこそ、生きる糧そのものだから。こうして元気の無かったお年寄りが聞こえる喜びに出会い、イキイキと元気になっていくのを見るのが、野呂さんの何よりの喜びであり、やりがいもここにある。
高齢者だけでなく、30代の若さでも聴力が落ちることがあるという。とにかく「早く付けた方がいい。付けないより、付けた方がどんなにいいか」と補聴器の大切さを訴える。 」
野呂さんは今日も技術者として、孫として、娘として、あらゆる人に「聞こえ」の喜びを提供している。「来ていただいたことが、とてもうれしいのです」と。こんなサロンが地元にあることは誇りであり、私たちにとってもそれはやはり大きな喜びだ。