こだわりの日本酒に焼酎、泡盛、
ワインにクラフトビール、洋酒も各種。
店には、オールラウンドのお酒がズラリ。
こだわり抜いた酒が並ぶワンダーランドへ、
特別な日・大切な人のために、
とっておきの1本を探しに行こう。
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福生の蔵元・田村酒造場の代表的銘柄「田むら」は今や、西多摩を代表する地酒。「大事な方への贈り物はこれ!」と決めている客も少なくない
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今、イチオシが山形の地酒、「栄光冨士」。近隣ではここにしかない。限定品も含め、季節の酒が並ぶという充実のラインナップ。日本酒通に非常に人気が高い
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山口 の「雁木」も、他ではなかなかお目にかかれない。これを目当てにやってくる客も。 「雅山流」や「出羽桜」など、全国各地の地酒が一堂に並ぶさまは壮観だ
店長からの一言
市川智紀さん
お酒の品揃えに関しては、かなり自信を持っています。皆さまにご提案していく商品もございますし、店内に置いてない商品にもお応えするよう努めております。お客さまに満足していただけますよう、日々、努力し精進してまいります。是非一度、お気軽にご来店ください。
基本情報
店名 | LIQUOR BASE FUSSA |
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住所 | 福生市福生963 |
電話 | 042-553-9063 |
営業時間 |
10:00~22:00 |
定休日 | 水曜 |
駐車場 | 3台 |
カード使用 | 可 |
URL |
ストーリー
地元だからこそ、「東京地酒」を看板に
店内に足を踏み入れるや、色とりどりのさまざまなお酒に迎えられる。日本酒、焼酎、ワイン、クラフトビール、洋酒に、なんと泡盛は全社が揃う。工夫された陳列も楽しく、圧巻のラインナップにあっという間に魅了されてしまう。
社長の瀬古毅さんは「社員が実際に展示会などで試飲をして、これだ!というこだわりの酒が揃っています」と胸を張る。
なかでも特に、日本酒に力を入れたいと、2018年に「日本名門酒会」に加盟した。これにより石川酒造が同年より参加した、名門酒会のイベント企画「立春 朝しぼり」の販売が可能になった。
「文字通り、立春の朝に搾った酒を酒販店が蔵に出向き、ラベルを張り、お祓いをしてもらって売るのですが、名門酒会の会員じゃないと売れないんです。福生の蔵元がせっかく手を挙げたのですから、何としても福生の酒屋で売りたかった」
石川酒造だけではなく西多摩には、5つの蔵がある。だからこそ瀬古さんは、「澤乃井」「嘉泉」「多満自慢」「千代鶴」「喜正」の酒を「東京地酒」と名付け、真剣に売って行こうと決めた。それは地元への愛であり、自らの使命でもあると考えたからだ。青梅線沿線ではなかなか手に入らない「喜正」の需要も高く、嘉泉の「田むら」も福生の酒としてかなり定着した。
瀬古さんが目指すのは、提案していく売り方だ。それは西多摩の地酒に止まらず、日本全国からこだわり抜いた酒を入れる。
「常用酒ならコンビニやスーパーで買ってという考えです。そうではない酒を主力に置く。実際に5人の社員ができるだけ多くの展示会に出向いて試飲をして、これだ!と思った酒を入れています。その時だけの限定品、他には置いてない、希少な日本酒をいかに発掘していくかがうちのやり方です」
オススメは山形県の「栄光富士」、山口県の「雁木」、俳優・佐々木蔵之介の実家の酒蔵、京都の「洛中」だと言う。日本酒を飲む女性が増えていることもあり、宮城・一の蔵の「すず音」という甘めの発泡性の日本酒も人気だ。
自慢の日本酒コーナーへ行けば、まるで旅行者の気分になる。日本全国のさまざまな酒にその土地を思い、あれにしようかこれにしようかと迷いながら、今宵の1本を選べる喜びがここにある。
ゆくゆくは、食とのコラボも
信頼できるラインナップは、日本酒に限らない。クラフトビール、ワイン、焼酎となかなか流通していない、希少なお酒に出会える店でもある。充実の品揃えばかりではなく、スタッフが十分な知識を持って、アドバイスしてくれることもうれしい限り。
「ありがたいことに立川や昭島など、遠方から来てくださいますし、リピーターは多いですね。ワインは特に、マニア系の方がよく来られます。ものすごい知識ですよ。スタッフが非常にワインを勉強しているので、十分に対応できます」
瀬古さんイチオシ、芋焼酎のオススメは「赤兎馬」。フルーティーな甘みが特徴で、貴重な限定流通だ。甕から汲んで飲むスタイルの芋焼酎、「甕雫」もなかなか出回らないものと言う。麦焼酎なら、「一粒の麦」や「常徳屋」がいい。クラフトビールも驚くほど種類が多く、日本のメーカーが作る「クラフトジン」や、「ジャパニーズラム」など、他ではお目にかかれない珍しいお酒も各種揃う。漫画「神の雫」に掲載された各種ワインのコーナーや、店長セレクトのオススメワインやコスパワインなど、ワインも様々な角度からの提案がなされている。
「最近、大多摩ハムのサラミやスモークレバーを置いたのですが、好評です。日の出町・みやび工房の燻製チーズもそうですが、地場のものとお酒がうまく連動できればと思っています。全国のこだわり食材も入れていますが、今後は飲と食のコラボを提案していければと考えています」
陳列されているお酒は、4000種以上。お酒へのこだわりだけでなく、瀬古さんは食とのコラボという、先をも見据えていた。お酒を選ぶワクワク感が味わえる店が、地元にあるのは間違いなく幸運だ。
こだわり抜いた、お酒の“戦略拠点”として
12年前、無謀と言われた挑戦から
転機は、駅前の西友が24時間営業になったことだった。それまで22年間、コンビニとして営業してきた。福生でも、ほとんどの酒屋がコンビニに変わっていた時代だった。
「西友という巨大コンビニができた時点で、太刀打ちできないと。すっぱりとコンビニ色を打ち消し、酒の専門店に特化することで活路を見出そうと決意しました。ここでやらなきゃダメだ。やるからには、中途半端ではいけないと」
周囲からは無謀だ、酒屋の役割は終わっていると言われた。しかし、リサーチの結果、普段のお酒はスーパーやコンビニで買うが、特別なギフトはデパートか専門店に行くことが判明した。
「需要はある! そう思いました。もちろん、飲食店への業務卸しという支えがあったから可能な挑戦になることは確かです。その飲食店にとっての、ショールームにも店が必要だと思いました」
瀬古さん、45歳の時だった。需要はあるが、認知されるまで時間がかかるという認識もあった。実際2年半、我慢の時が流れた。
しかし今、その決断は間違っていなかったことを実感する日々だ。
大正10年創業、100年企業目前の今
瀬古酒店の創業者は、瀬古さんの祖父だ。そもそも、滋賀県甲賀郡出身の近江商人という流れを汲む人物だ。その本家は今でも甲賀郡で、瀬古酒造という酒造業を営んでいるという。近江商人は全国を行商で歩き回ったが、瀬古さんの祖父がどんな経緯があって、福生の地で旅装をといたかは定かではない。しかし、この祖父が始めた酒屋こそ、福生で最古参の酒販店となった。近江商人の才覚もあり、事業は拡大、商売は繁盛した。祖父はのちに、福生市長となった人物。瀬古さんはこの祖父に似ていると言われる。
今や瀬古商店は業務用の卸しを主力に、リカーベースの店舗と、楽天・Amazonの通販という3本を柱に動いている。8年目に入った通販は順調に売り上げを伸ばし、父の日用・オリジナル陶器「父の日ボトル焼酎」は1000本を完売し、Amazonでは星5つ、98%が肯定的に見ているという高評価を得ている。そして店舗の売り上げも順調だ。
「入口のディスプレイは毎月、変えています。自分たちが発掘した、こだわりのお酒でいかに陳列棚を埋めるか、飽くなき追求の日々です。限られたキャパの中で、どうしていくかと。お客さんが、多角的に選べる店にしていかないとと思いますね。ラッピングなど、付加価値も大切にしています。『こんなの、あったの?』って驚きも提供できる、楽しい店にしたいです」
お客を思い、努力を惜しまぬ真摯な酒屋は、間違いなく地元の誇りだ。