居心地の良いカウンターで、鶏出汁おでんにほっこり

トリダシオデン チアキショウテン

鶏出汁おでん ちあき商店

「鶏出汁」に自信があります

住所
志茂63-2
TEL
090-3533-7853

濃厚な白湯(ぱいたん)スープに秒殺され、
唸りながら、
熱々おでんの個性的な具を、あれこれ頬張る。
酒飲みのツボに、ド・ストレートな酒肴に涙。
居心地の良いカウンターに、店主の笑顔。
今宵も銀座通りに、幸せ時間が待っている。

(店名)

銀座通りに掲げられる「鶏出汁おでん」の旗。居心地のいい空間でゆったり料理とお酒が楽しめる

  • 端正な檜のカウンター

    大ぶりで肉厚。ぶりぶりのキクラゲ。鶏出汁とバターのタレがたまらない

  • 端正な檜のカウンター

    五島列島で捕れたアジの分厚さ、迫力を見よ!味は濃厚、脂の乗りも抜群

  • 端正な檜のカウンター

    人気のアンチョビピザ。サクサクの生地にアンチョビの塩味にリピーター続出

店長からの一言

店主 中崎千秋さん

中崎千秋さん

家でごはんを食べているような気持ちで、過ごしていただければと思い、「お帰りなさい」とお迎えします。女性のおひとりさまでも、くつろいでいただけると思います。みんなのお母さんだと思ってやっています。ぜひ、自慢の鶏出汁おでんを、食べに来ていただければと思います。どうか、お気軽にお寄りください。

基本情報

店名 鶏出汁おでん ちあき商店
住所 志茂63-2
電話 090-3533-7853
営業時間

17:00~21:00

定休日 日曜、月曜
駐車場 なし
カード使用
URL

ストーリー

白濁した鶏出汁に、速攻でノックアウト

これが自慢の鶏出汁おでん。白濁した濃厚なおでん出汁に粗挽きブラックペッパーが抜群のアクセント

これが自慢の鶏出汁おでん。白濁した濃厚なおでん出汁に粗挽きブラックペッパーが抜群のアクセント

 夕刻、10人座れば満席というカウンターの隅っこに座る。瞬間、なんてあたたかく、居心地のいい空間なのかと思う。それは、中崎さんのさばさばした笑顔のせいか。お酒を注文するや、目の前に置かれた「お通し」が何とビーフシチュー。サクサクの、バタートースト付きだ。長年、居酒屋に通っている身だが、これは初体験だ。驚きを隠せないこちらに、中崎さんが笑う。
「居酒屋通いが趣味だったんだけど、お通しが美味しくないのが許せなくて。自分の店をやるからには、お通しはちゃんとしたものを出そうと」
 とろとろに煮込まれた牛肉が、口中で解けて溶ける。「ちゃんと」どころか、これはもう破格だ。
 早速、自慢の鶏出汁おでんをいただく。中崎さんが見繕ってくれたのが人気No.1の「やげんなんこつ」に「なんこつつくね」、定番の「大根」に、福生ハムの「粗挽きウインナー」。白濁したラーメンスープのようなおでん出汁が、「何だ、これはー!」級の絶品。深みとコクをまとった旨味たっぷりの濃厚な出汁は、まさにここだけの唯一無二の味。振りかけられた粗挽きのブラックペッパーと相性が抜群で、これは辛子ではなく、黒胡椒で食べるおでんなのだ。
「やげんなんこつ」はコリコリ感と骨にこびりつくホロホロの肉が、口中で渾然一体に。「つくね」は細かな軟骨の食感と、「クワイ」のシャキシャキを同時に味わう逸品。クワイが非常にいい仕事をしている。こんなつくねは初めてだ。大根にはフライドオニオンがかけられ、新たなおでん大根の世界に誘ってくれる。全てが斬新、衝撃だった。

生キクラゲの衝撃、鶏出汁の威力に脱帽

一瞬、目を疑うほどのボリューム。福生ハムから仕入れる、質のいい豚肉がゴージャスな一品に

一瞬、目を疑うほどのボリューム。福生ハムから仕入れる、質のいい豚肉がゴージャスな一品に

 中崎さんが「ぜひ、食べて欲しい」と出してくれたのが、「生キクラゲバター焼き」だ。大ぶりのキクラゲは、新潟直送だと言う。キクラゲの大きさや厚みも驚きだが、口に入れた瞬間、衝撃が走った。ブリンブリンの食感も素晴らしかったが、何と、深みのある味付けなのか。バターだけでは、こうは行かない。
「おでん出汁を入れて作るんです。仕上げに、レモンを振りかけるのもポイントです。おでんの出汁で先ほどのビーフシチューやカレーも作りますし、その日にスープが残っていれば裏メニューで、ラーメンや雑炊などもお出しします。アルバイトのスタッフがペットボトルに入れて、出汁を持って帰るんです。家で食べたいからって」
 それはもう、心から納得だ。私だって喉から手が出るほど、欲しいもの。
 おでんという屋台骨ばかりか、酒飲みには魅力的な酒肴が並ぶ。八戸から取り寄せる「さばの燻製」たるや、身がしっとりと柔らかく、燻製の香ばしさをまとい、日本酒に最高だ。五島列島の「アジフライ」は肉厚でふわふわ、アジ自体の旨みが非常に濃い。アンチョビピザも、薄い生地にアンチョビの塩味がいいアクセントで、飲みながらつまむのにちょうどいい軽さだ。
「自分が食べたいものを出しています。家庭で子どもに向かって作っている時と同じ気持ちで作っていますので、なるべく手作りで、冷凍食品は使いたくないですね。基本は家庭料理ですので、ごはんを食べに、帰ってきてくださいという思いです」
 家庭料理とは言うが、「トンテキ 1/2ポンド」の迫力たるや、尋常じゃない。どでかい肉に、目をみはる。家庭じゃ、こんな肉は使えない。ここにたっぷりの千切りキャベツにトマトやきゅうりが添えられ、ちゃんとバランスを考えた母の心配りも。豚肉が甘い、脂身まで美味い。これぞ、ザ・トンテキ。分厚い肉を喰らうという喜びに、打ち震えるばかりだ。

銀座通りの“わが家”に、「ただいま」と帰ってきてほしい

シングルマザーの一大決意、リスクなど微塵も思わず

「澤乃井」の熱燗を、ラベルの「澤」のさんずいまで飲んだら鶏出汁を投入。杯を重ねざるを得ない後引く旨さだ

「澤乃井」の熱燗を、ラベルの「澤」のさんずいまで飲んだら鶏出汁を投入。杯を重ねざるを得ない後引く旨さだ

 オープンは2023年4月、シングルマザーとして中学生の娘を育てていたちあきさんは、清水の舞台から降りる決意をした。一人で、居酒屋を立ち上げたのだ。
「いつかは自分で店をやろうとは、思っていました。娘が高校生になってからかなと思っていたのが、早まりました」
 居酒屋で飲むのが大好きだったこともあり、嫌な思いをしたことを全てクリアする店にしようとした。まず、お通しだ。注文してもレスポンスが悪く、なかなか料理が出てこないことへのイライラもあった。
「だから、おでんにしました。素人が始めるので、次々と注文は捌けない。おでんならば、最初にパッと出せますから。それを食べていただいて、次に食べたいものを注文いただければと。おでんも鰹出汁の醤油味だとどことも同じ味になってしまうので、変わったおでんにしたかった。それで、鶏出汁にしたのです」
 何度も試行錯誤を重ね、ちあきさんの鶏出汁は完成した。ラーメンスープのように、鶏ガラと野菜を半日以上、コトコトと煮込み、一日寝かせて出来上がる。
「この出汁に一番、時間とお金がかかっています。1週間分の出汁を作って、それを5日分に分けて保管し、その日ずつ、使います。その日のうちに使い切り、余ったものは捨てちゃいますね」
 ここだけのオリジナル、「澤乃井」のワンカップを熱燗にして、ラベルの「澤」のさんずいの2番目まで飲んだなら、そこに鶏出汁を入れる「出汁割り」日本酒が、抜群に美味いのだ。2杯、3杯とつい杯を重ねる中毒性を持つ、ここだけの味。それも、渾身の鶏出汁があればこそ。
 中崎さんの店はこの唯一無二の鶏出汁が完成したことで船出し、多くの鶏出しファンを作り上げ、今宵もカウンターは満席なのだ。

店を出すなら銀座通り、みんなのお母さんに

この日のお通しは、何とびっくりのビーフシチュー。トロトロ、ホロホロの牛肉の旨味を椅子に座った途端に味わえる。供えられたトーストもサクサクと軽く、あっという間に完食だ

この日のお通しは、何とびっくりのビーフシチュー。トロトロ、ホロホロの牛肉の旨味を椅子に座った途端に味わえる。供えられたトーストもサクサクと軽く、あっという間に完食だ

 中崎さんの長女はとっくに成人しているが、長女からこう言われたという。
「何で、失敗するとか思わずに、店を出せるのかが不思議」
 確かに、飲食店経営は非常にリスキーだ。ましてや、シングルマザーというひとり親世帯の身において、通常ならなかなか選ばない選択だ。
「失敗とか、何も思わなかったですね。店をやれば大丈夫、娘と食べて行けるって。店を出すなら、銀座通りと決めていました。銀座通りが、好きなんです。この物件を見た時、絶対にここだ!って思いました。一人でやるから、カウンターだけの店がいい、ここしかないって」
 開店にあたり、さまざまな人が助けてくれた。内装も友人が手がけ、おでん台も皿も頂き物だ。こうした人の縁は、ちあきさんの人柄ゆえ。そうとしか思えない。
「店をやれば、誰かと話せるっていう思いもありました。自分が家でこれまで作ってきた料理、ありったけの作れる料理を出しています。出汁巻きたまごは、子どものお弁当にずっと作ってきたもの。店で出すものは、出汁を多めにしてふわふわに仕上げていますけど。お通しは毎回、悩みますが、とにかくボリュームがあるものを。夏ならサラダとか、冬にはクリームシチューとか。こうして娘と暮らせていますから、何とか、軌道に乗ったと思います」
 一番高くても、1500円程度。3000円から3500円あれば、お腹いっぱいになって飲むことができる。これなら、わが家のように毎晩、カウンターに帰ることも可能だ。ポトフのようなここだけのおでんと、“みんなのお母さん”が「帰っておいで」と待っている、あたたかな場所が銀座通りにはある。

クーポン・地図

店舗MAP

TOP