「どす」は、店主の出身、京都弁から。
わんちゃん連れも、そうでない人も、
犬と触れ合い、手作りごはんに笑顔が溢れる。
16号沿いにある、日当たりのいい空間には、
看板犬の黒ラブが、
今日もゆったりくつろいでいる。

16号沿いに面した、角地に建つ。大きな窓から光が射し込む、気持ちのいい空間だ
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「ペットフード販売士」と「ペット栄養管理士」の資格を持つ、店主厳選のフードやおやつ
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木目の床が落ち着いた雰囲気を醸す。日当たりのいい、ゆったりとした店内
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ワンちゃんの骨をかたどったライスがかわいい「牛すじカレー」。牛すじがトロトロ。濃厚な味わい
店長からの一言

高橋萌菜さん
前より店が広くなり、日当たりも良く、犬たちがゆっくりくつろげる空間になりました。ペット管理栄養士の資格を取りましたので、そのコにあったご飯の相談にもお乗りします。2階では、「ノーズワーク」のレッスンを考えています。手作りご飯やお茶を楽しみながら、犬と触れ合っていただければと思います。
基本情報
店名 | Caféどす |
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住所 | 福生市福生2165-1 |
電話 | 080-3505‐0075 |
営業時間 |
11:00~16:00 (L.O.15:00) |
定休日 |
火曜 不定休あり(ご来店前にお店へご確認ください) |
駐車場 | なし(隣にタイムズ駐車場があります) |
カード使用 | 可 |
URL | https://r.goope.jp/cafedosu |
ストーリー
日当たりのいい空間で、犬も人もゆったりと

犬の名前、誕生日、犬種、在住地、チャームポイントが記されたファイル。ご来店のワンちゃんたちがズラリ
16号沿いの一角、日差しが燦々と注ぐ空間で、看板犬の「クルミ」は店の中央のクッションに丸まっている。お客が来ても吠えもしないし、我関せずとマイペースだ。
ここはわんちゃん大歓迎の、犬と人が触れ合える貴重なカフェ。24年夏に田園通りから引っ越ししたことで、大きなゆったりとした空間となった。
「クルミちゃーん、かわいい〜」
若いカップルがクルミの顔や背中を撫でれば、お腹を出して甘えてくる。この客のことを、クルミはちゃんと覚えているのだと高橋さん。
「かなりよく来てくださる方たちです。犬連れでなくても、犬に会いたい、犬に触りたいというお客さんも多いですね」
それぞれパピヨンを連れた3人の女性客が、テーブルに着く。近くの室内ドッグランの帰りに、同じ犬種の友達同士が食事に来る例も多い。
「6割から7割が、わんちゃん連れの方ですね。お散歩仲間、希少犬同士、ラブラドール友達などいろいろなグループの方が、オフ会で利用されることも。お店が広くなったので、3グループぐらい入りますし、大型犬もゆっくり過ごせます」
取材時は、転居から4ヶ月。この時点で、すでに600頭もの犬が来店。店ブックに記録に来た犬は写真を撮り、飼い主が書いた紹介文と共にスクラップされており、店にとっても客にとっても大事な宝物になっている。見れば神奈川、茨城、都内と遠方からわざわざ、ここを目がけて愛犬家たちがやってくることがわかる。そんな大事な、貴重な場なのだ。
バランスのいいランチも、わんこメニューも

ランチの「手作りハンバーグ」。どのランチにも、「おばんざい」が3種付く。「本日のポーク、チキン、お魚」と日替わりメニューも楽しみだ
数年前、高橋さんは「ペットフード販売士」と「ペット栄養管理士」の資格を取った。特に後者は講習に参加し、試験を受けなければ取れない難関なものだと思う。
「ペットの手作り食を出しているので、きちんとした知識を得たかったし、お客さんにその犬にあったごはんをアドバイスできるようになりたかった。皮膚のアレルギーや肥満、疾患なども食べ物で改善できますから」
「わんこメニュー」の一番人気は、「とりハム(450円)」。かぼちゃやにんじんのクッキー、ローストビーフやテリーヌまで。要予約で、「お誕生日ケーキ」もある。
「ワンコがこの店に来たくなるように、わんこメニューはちょっとがんばってます」
愛犬が喜んでごはんを食べるのを見ながら、ランチをいただくなんて幸せだ。ランチの一番人気は「手作りハンバーグ」、牛すじカレーもファンが多い。全てに3種のおばんざいが付く、バランスのいいあたたかな家庭料理だ。日替わりでポーク、チキン、お魚の定食もパスタ、タコライスまで充実のラインナップとなっている。
サラリとしたトマトソースに肉の旨味をしっかり感じる、どっしりとしたハンバーグ。気を衒うことのない実直なハンバーグはどこか優しい味わいながら、一気に最後まで進んでしまう力強さがある。牛すじがとろとろに煮込まれた濃厚なカレーは、スパイシーな香りと重厚なコクが圧巻。彩りのいい、この日のおばんざいは、カボチャサラダ、ナスとピーマンの揚げ浸し、にんじんのきんぴらの3種。薄口醤油に出汁の聞いたおばんざいは、京都出身の店主名ではの味だ。
「16号に移ってから、ふらっと寄られる方も増えましたね。普通にお茶してランチをしてと。さまざまな人たちと犬が気軽に寄れて、触れ合える場所へと広げていきたいですね」
愛犬を亡くした身としては、こんな場所が本当にありがたい。クルミを撫で撫でしただけで、心がホカホカになっていた。
犬が集うカフェから生まれる、さまざまな可能性を
保護犬のケアから始まった、「ノーズワーク」を広めたい

本日の看板犬「ミルク」。ゆったりとマイペースでくつろいでいる。時にお客に甘えることも
高橋さんは、ドッグスポーツの一つ「ノーズワーク」のインストラクターでもある。日本に入ってまだ5年、第1期のインストラクター11人の中の一人だ。ノーズワークとは、犬の鼻と嗅覚という犬本来の能力を使って、ストレスを発散しながら遊べるドッグスポーツのことだと言う。
「これはすごく、犬にとって楽しいものです。犬が得意とする分野なので、意欲や喜びを持って取り組めます。もともと、保護犬のケアから始まったもので、自主性を持たせ、脳をすごく使うので、認知症予防にもいいですし、飼い主にとっては犬の様子を観察することで何を考えているかがわかって、信頼関係が深まりますね」
高橋さんは店の2階のスペースを使って、このノーズワークのレッスンを始めたいと思っている。臭いを嗅いで探すという喜びは、犬の探究心を大いに満足させるものだと言う。もし、我が愛犬が存命のうちに知っていたなら、高橋さんの元に通って、一緒にノーズワークをやってみたかったと強く思う。得意げな犬のイキイキした姿を目の当たりにできるなんて、飼い主にとって、これ以上の喜びはないのではないだろうか。
棚にはアーティストの作品、作る人への応援も

愛犬家にとっても、そうでない方にとっても、犬と触れ合い、ゆったりと過ごせる貴重な場だ
そもそもの始まりは2013年、結婚して子どもが生まれ、「家族3人だけは寂しい」と、クルミのお母さんの黒ラブ、ルノを飼ったことから。2年後、ルノにクルミとツキという子どもが産まれた。この3頭が今や、日替わりで店にやってくる看板犬だ。
「オープンは2016年。犬と一緒に行ける場所があまりないなーと思っていて、じゃあ、自分でやっちゃえばって。もともと、人と話すのも好きですし。でも、やってみて、家に置いてくる2頭とは遊べないことがわかりました。夕方は毎日、散歩しますけど」
カフェだけでなく、店は物販も行う。おやつやフードはサイズ感が良く、素材が悪くないものを、ペットフード販売士の高橋さんの目利きで揃える。
「サイズ感が良く、素材が悪くないものを置いています。飯能にある『みちのくファーム』の馬のアキレス腱や、鹿肉のジャーキーなど珍しいものも置いています」
その横には可愛らしいアクセサリーや、犬をモチーフにした小物も並ぶ。
「ここは、物作りをするアーティストさんに棚貸しをしてるんです。犬に特化したものですね。アクセサリーだったり、犬の顔をデザインした小物入れだったり、作る人と作品を欲しい人とのマッチングもこの場でできたらと」
平日は割とのんびりしているが、土日は大型犬が10頭になることも。それでも広々とした明るい空間ゆえ、犬もゆったりとくつろげる。夜の営業はしていないが、不定期でライブなどのイベントを行うことも考えている。
「いろいろなところからわんちゃんを連れてここにきていただいて、ここから、いろいろな可能性を広げていけたらと思っています。もちろん、わんちゃん連れじゃない方も、ここで犬に癒されてもらえれば」
16号沿いという立地を得て、高橋さんはここから新たなスタートを切ったばかりだ。愛犬家の聖地はわんこロスの癒しの場であり、わんこを飼えない人たちに触れ合う喜びを提供する、かけがえのない空間となっていた。