和牛ローストビーフにレアなとんかつ、
だし巻き卵に新鮮魚貝……、
胸ぐらをつかんで離さない、こだわりメニューがズラリ。
自由に多彩にゆったりと気兼ねなく楽しめる、
美食スポットが福生駅西口にある。
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子ども連れでもくつろげる、ゆったりとした店内
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有機ワインにもこだわる。ボトルで2500円。店主の好みで、フルボディに比重が
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これぞ、創作ダイニングの本領発揮。女性に人気の巻き寿司(790円)。サーモン、クリームチーズのハーモニーがやみつきに
店長からの一言
木橋龍彦さん
ジャンルを問わない、カジュアルな創作料理のお店です。ダイニングと銘打ったのは、お客さまの普段使いの「食堂」でありたいからです。私が作る料理を、美味しいお酒とともにゆっくり楽しんでいただきたいと思っております。料理はボリュームがありますから、男性でも十分にご満足いただけます。どうぞ、お気軽にお立ち寄りください。
基本情報
店名 | 創作ダイニング たつあん |
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住所 | 福生市福生1046-1 |
電話 | 042-513-0365 |
営業時間 |
11:30~14:00 (ランチ 月~金(L.O:13:30))17:30~23:00 (夜 月~木 LO:22:00)17:30~24:00 (金、土、祝前日 LO:23:00) |
定休日 | 日曜 |
駐車場 | 市営駐車場の割引あり |
カード使用 | |
URL |
ストーリー
採算度外視、こだわり和牛のローストビーフ
オーナーシェフ、木橋さんがまず出してくれたのが、「和牛ローストビーフ」(1000円)。メニューの「自慢の特選お肉料理」のトップに掲げられている、堂々たる店のイチオシだ。50年以上続く、老舗の肉屋が目利きした和牛を使う。
「下ごしらえをして最低1日は寝かせて、オリジナルスパイス数種をまぶし、たっぷりの野菜と一緒にオーブンで焼きます。肉汁で作った特製グレービーソースに漬け込んで、お出しするときに醤油ベースのたれをかけます」
驚くべきボリュームだ。とても1000円は信じられない。付け合わせの野菜もたっぷり。肉がしっとりと柔らかく、肉の味がとても濃い。たれもちょうど良く、肉本来の旨みをしっかりと味わえる秀逸な一品だ。
「とにかく和牛にこだわっています。手間と量を考えたら、コスパは最高かと」
続いて二代巨塔ともいうべき、「ロースとんかつ」(900円)が登場。2センチはあろうかという分厚いカツが、中心はうっすらピンク、レアに揚がっている。木橋さんが「ソースより、まず藻塩で」と勧めてくれる。
塩は自信の現れだった。ごまかしがきかず、素材の良さこそ試される。肉はしっとり、プリッとした弾力を持ち、何より脂が甘い。衣はサクサク、肉の食感がたまらない。脂がさらっとしているので、女性でも脂っこさを感じず、ばくばく行ける。
「お肉のプロが選ぶ、目利きにかなった豚ですから。脂、甘くてとろけますよね」
まさに。お隣のブレッドガーデン製の玄米パンでサンドした「ヒレかつサンド」(850円)も、ボリュームたっぷり。脂身のないヒレとソースの相性が抜群、しっとりパンと相まって、お腹いっぱいなのにもっと食べたくて仕方がない。
女性に人気のだしまき玉子、有機ワインにこだわる
自慢のお肉と並ぶ、看板商品が「だし巻き玉子」。見るからにふわふわで、黄金色に輝くそのだし巻き、横幅がおよそ20センチという、目にも迫力ある豪華な一品。おだしが効いてふわふわ、しっとりジューシー。女性の人気が高いというのも納得だ。プレーン(590円)だけでなく、「チーズ」(690円)、「吉野仕立て」(790円)、「明太チーズ」(同)、「イタリアン」(同)とこんなにいろいろ楽しめる。毎回、違うものを試したい。
さらに人気は、生地から作るピザ。その中で、「エリンギとベーコンの和風ピザ」(790円)を注文。何と、塩麹が使ってあるというのも驚きだ。
おつまみにちょうどいい、小ぶりなピザ。エリンギのシャキシャキとした食感、細切りベーコンの旨みと塩気、塩麹の甘い香りがほんのり鼻に抜け、つまみとして、とてもバランスがいい。
とにかく一品がボリュームたっぷり。あれもこれも食べたいけれど、とにかく通って、じっくりお付き合いするしかない。通いつめたくなる店って、その街の宝なんだと心から思う。ああ、また行きたい!
料理は心、愛がなければ美味しいものは作れない
ガテン系職人から、和食の道へ
木橋さんが料理の道に進んだのは20代半ば。塗装や電気工事の職人をしていた頃、飲食店でバイトをしたのがきっかけだった。俄然、料理を作る楽しさにはまった。飲食業、めちゃくちゃ面白いんじゃないか。同じ職人ということもあり、和食の修行を決意する。
出会った師匠の教えのもと、いろいろな和食の店を渡り歩いた。職人とは「渡って」修行するものだから。青梅のとんかつ屋で修行の成果から、とんかつが、店自慢の一品となった。目標は独立したい、店を持ちたいということ。夢がかなったのが2012年6月、現店舗をオープンさせた。地元の青梅ではなく、知らない場所で腕を試して見たかった。
「自分が作る料理は、福生の人には合わないんじゃないかと悩みました。大衆的なつまみを出す店にしようかとも。でも、ここにきてようやく、自分の創作料理にこだわってきてよかったと思っています。和食に固執せず、肩の凝らない店にしたいですね」
老若男女、家族連れでも楽しめるように
ランチの時間帯には子ども連れで、ママ友ランチをするグループがいる。ゆえにトイレにはおむつ替えの台と補助付き便座も用意した。
木橋さん自身、幼い子どもがいるせいか、野菜などの食材は放射能や農薬に配慮した、できるだけ安心・安全なものを使う。とくに野菜にはこだわりがあり、立川の鈴木農園から無農薬野菜を仕入れている。外食産業の場合、食材は消費者から見えにくい。そんなところも「多少、割高になりますが」と言いつつも配慮してくれるのは、なんと、ありがたいことだろう。簡単なことではないと思うのに。
福生ではなかなかない、有機ワインが飲める店なのもうれしい。ボトルが2500円〜ともう、こんな破格でいいの〜?と思うほど。福生の地酒に各種サワー、ハイボール、焼酎とどんな料理にでも合うように、厳選された多彩なお酒も大きな魅力だ。
肉料理を看板には掲げているが、毎日、市場に通い、その日の旬の魚を仕入れている。この日はマグロにシマアジのカルパッチョや刺身、ズワイガニのピザも用意されていた。それもこれも、すべては客に喜んでもらうためのこと。
料理は奥が深いと木橋さん。
「すべてにおいて、心が大事だと思っています。愛がなければ美味しいものは作れません。だからいつも、修行ですね」
この思いだけで十分だ。お客のためにこれほど思っている店が身近にある。それだけで、なんだか生きる勇気が湧いてくる。