赤ちゃんも安心、素材にこだわった絶品中華
フッサテキチュウカショクドウ フィフティ
福生的中華食堂50(フィフティ)
「仕事」に自信があります
- 住所
- 福生市東町2‐1 五十番ビル4F
- TEL
- 042-551-4362
「当たり前のことを一生懸命に」と、店主は言う。
中国人呂シェフの“最後の弟子”が、わが街に。
一度食べたら、週に2度も3度も通いたい。
食材にこだわった本格中華が、お手軽価格で楽しめる。
無上の喜びが、福生駅前に健在だ。
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五目うま煮(1029円)。各種キノコ、タケノコ、クワイなど10種もの素材が一つにまとまる。野菜のシャキシャキ感が素晴らしい
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豪快にドンと、1枚肉で提供される「50的酢豚」(945円)。肉を喰らう快感に心おきなく包まれる
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薬味ソースがとにかく絶品。皮目パリパリ、しっとりジューシーな鶏肉を堪能。「若鳥のパリパリ揚げ」(924円)
店長からの一言
須田茂一さん
本格的な中華料理を、お手軽価格でカジュアルに楽しんでいただければと思います。野菜やお米、植物油など食材もいいものを使って赤ちゃんからお年寄りまで、安心して食べていただける中華です。4階という場所にありますが、どうか一度、お気軽にご来店ください。
基本情報
店名 | 福生的中華食堂50(フィフティ) |
---|---|
住所 | 福生市東町2‐1 五十番ビル4F |
電話 | 042-551-4362 |
営業時間 |
11:00~23:00 (L.O22:30) |
定休日 |
木曜 隔週 |
駐車場 | あり |
カード使用 | 不可 |
URL |
ストーリー
“奇跡のレバニラ”、ここにあり
実は熱を通したレバーが苦手で、「レバニラ」に関してはこれまで一度も注文しようと思ったことすらない。店主の須田さんから「ウチで一番出る」と言われ、恐る恐る口に運んだ「レバニラ」は、どんなものとも違っていた。飛び出た一言は、「ああ、うまっ!」。箸が次へと進むことに、我ながらビックリ仰天。薄切りのレバーはカリッと香ばしく、ふわっと口中で溶け、臭みは皆無。いや、むしろ後味爽やかといっていい。醤油ベースのタレは奥深く複雑でこのまま飲み干すか、ご飯に汁をぶっかけてかっ込みたいという衝動がこみ上げる。何と清らか、これぞ、奇跡のレバニラではないか。
ここに、「50」の全てが象徴されていえるのかもしれない。まず、こだわるのが食材だ。国産の生のいいレバーを吟味して、紹興酒できっちり血抜きをし、片栗粉で素揚げをしてカリッと7分目まで火を入れ、ニラと一緒に一気に油通しをして炒め上げる。
「中華は、仕込みが命。食材の切り出しもきっちり同じに揃えないと、火の通りが違ってくる」と須田さん。 ゆえに材料の作り置きは一切、しない。注文を受けて、一から調理にかかるのが開店以来、変わらぬ基本だ。チャーハンのネギでさえ「なるべく切ったばかりの、新鮮なものがいい」と、野菜を切るところから始めるのだ。
須田さんは「当たり前のことですから。多少、待ってもらうことになりますが、美味しいものを提供したい」とにこやかに笑う。一切の手抜きを排した基本に忠実な仕事が、お客からは見えない厨房で注文が入るたびに行われている。
たかが「ニラレバ」ではない、ここに“奇跡”が宿るのだ。
多彩なバリエーション、中華の醍醐味をとくと堪能あれ
ナンバー2の人気メニューは、「車エビの特製マヨネーズ・サラダ風」(1554円)。下味をつけたエビを卵白+片栗粉で揚げ、とろっとろのこってりまろやかなマヨネーズソースをたっぷりからめる。サクサクに揚げたワンタンの皮と生野菜と一緒に、香ばしくアツアツのエビを頬張れば、ああ、生きててよかったと心から思う。リピーターが多いというのも至極当然、腹の底から納得だ。
「五目野菜のうま煮」(1029円)に、中華の王道を見た。一つ一つ素材を生かしたシャキシャキの食感と、香り高く奥深いあんのハーモニーにいつまでも酔いしれたいと心底思う。こっくりまろやかな、やさしい味わいのあんは、もはや芸術品だ。
驚きは、「50的酢豚」(945円)にあった。大胆にも、分厚い豚の一枚肉をカラリと揚げる。カレー風味のアクセントが効いた豚肉は、厚みがありながら柔らかくジューシー。絶妙な酸味の甘酢との相性が抜群、こんな酢豚があったのかと目からウロコの一品だ。
あるいは、下味をつけて蒸した鶏肉を高温で素揚げした「若鳥のパリパリ揚げ」(924円)。皮目はあくまでパリッと香ばしく、ジューシーでしっとりした鶏肉にこれでもかと旨味が凝縮、サラリとした繊細な薬味ソースと混然一体、鶏好きでなくとも即効ノックアウトだ。
平成5年のオープンから、「やっと思っているメニューに辿りついた」と須田さん自慢のラインナップは、何を食べてもため息もの。脂っこいはずの中華なのにさっぱり、爽やかな後味は、「いい植物油を使っている」から。化学調味料を極力抑えているのも、胃もたれしない理由だという。
きちんとした食材や調味料を使っているため、赤ちゃんでも食べられる“安心中華”。しかもお手軽価格だ。福生の夜景を見降ろしながら、甕出し紹興酒をクイッと行けば、これぞ至福。
さあ、福生駅前で極上の楽しみに浸ろうではないか。
本物の中華を、お手軽にカジュアルスタイルで
呂シェフの下での、下積みがあればこそ
中国人の高校生が、50のチャーハンに「おばあちゃんが作ったチャーハンだ!」と叫んだという。厨房に向かって中国語で料理名が飛び交い、中国語でオーダーを記すのを見れば、シェフは中国人?と思うのも当然かもしれない。すべては須田さんが中国人の料理人、呂克洪(ロ カ ホン)さんのもとで、一から中華を学んだからだ。
呂さんは日本における本格中華の先駆けとなった「大東京飯店」が、昭和35年に新宿・三光町にオープンした際、店を立ち上げたコック長というすご腕の持ち主だ。
須田さんが「中華もいいなぁ」と、料理人としてスタートを切った頃、最初に働いた福生の中華店でシェフをしていたのが呂さんだった。
「半端なく厳しかった。昔の職人なので聞いても教えてくれない。見せてもくれない。ただ、手を動かせと野菜の下処理ばかり。手を中華包丁の背で叩かれるのもしょっちゅうでした」と須田さん。店が終わった後、一人、くず野菜を刻んで中華包丁の使い方を身につけていった。
呂さんからカタコトの日本語で「あなたは若いからどんどん覚えなさい」とよく言われたという須田さんは、奇しくも呂さんの最後の弟子となった。呂さんから学んだのは、中華の神髄と同時に「当たり前のことを一生懸命やる」という基本だった。
今の師匠は、お客さん。変えて行くことも大事
透明なスープが、とにかく素晴らしい。きれいにすっきりと澄んで、さっぱりと後味爽やかでありながら、鶏の濃厚な旨味をしっかり感じる奥深く複雑な味わいに、研ぎ澄まされた料理人の精神を見る。
「スープは毎日作ります。いい鶏ガラと福生の人たちのニーズに合わせ、出し昆布と干し貝柱を使い、自分の味に仕上げます」と須田さん。このスープこそ店の命、味の骨格を支えている。
店のスタイルは、平成5年のオープン以来変わらない。ギンガムチェックのテーブルクロスも食堂タイプの椅子も、「カジュアルで大衆的な形で、本物の中華を提供したい」という思いゆえ。
以来、足かけ19年、須田さんは「学んできたことを変えないように、しかし時代のニーズに合わせて変えて行く部分も絶対に必要」と今も、学びの日々。「今の師匠は、お客さん」と笑う。
信頼あっての地元店ゆえ、お米、野菜、油、調味料等、材料には気を配り、「とにかく味と金額で、トータルに満足していただけるよう」、今日も厨房で油まみれになりながら中華鍋を振るう。「どんなに疲れていても美味しかったと言われるだけで、やってて良かったって思います」と。
気持ちのいい接客が魅力の奥さんのあゆみさんは、中学の同級生。今日も夫婦二人三脚で、「福生的(福生の)中華食堂」の灯りが福生駅前を照らしている。