悶絶必至、限りなく天然に近い“極上鰻”

ウナギ テンプラ クボタ

鰻・天麩羅 くぼた

「ふっくら鰻」に自信があります

住所
福生市福生910
TEL
042-551-0545

赤いのぼり旗に、「坂東太郎」の名が揺れる。これが店主自慢の、"極み"の鰻に冠された名。近隣ではお目にかかれない希少な鰻が、最高の状態で供され、黙々かっこむ――これぞ極上。無上の喜びを、福生自慢の老舗で堪能あれ。

(店名)

天然鰻の風味に近付けた養殖鰻『坂東太郎』(5,000円~)。
割きたての新鮮な鰻をじっくりと蒸し上げ、創業以来50年以上継ぎ足されたタレにくぐらせ、丁寧に炭火(紀州備長炭)にてふっくらと焼き上げられた鰻『坂東太郎』をご賞味ください。

  • 端正な檜のカウンター

    お得感たっぷりの「せいろまぶし」(3,780円)。はじめは鰻重で、次に薬味満載のお茶漬で。風味抜群のカツオだしでサラリとすする、うな茶は最高

  • 端正な檜のカウンター

    天ぷら盛り合わせ(1,188円)。ぷりっぷりの車エビに、イカ、アナゴ、野菜と盛り沢山。サクサクで、とても香ばしい

  • 端正な檜のカウンター

    厳選された日本酒。近隣では珍しい島根の王禄、そして地元の多満自慢や田村酒造の逸品「田むら」は3種楽しめる

店長からの一言

店主 窪田重剛さん

窪田重剛さん

お子様からお年寄りまでゆったりくつろげる、アットホームなお店です。多少、お時間をいただくことになりますが、美味しいうなぎを作ります。どうか一度、お気軽にお越しください。

基本情報

店名 鰻・天麩羅 くぼた
住所 福生市福生910
電話 042-551-0545
営業時間

11:30~14:00

(LO 13:30)

17:00~21:00

(LO 20:00)
定休日 月曜
第一日曜、第三火曜(1・7・8・12月を除く)
駐車場 13台
カード使用
URL http://unagi-kubota.sakura.ne.jp/

ストーリー

坂東太郎に、"一箸・ノックアウト"

鰻重の楽しみは、蓋を開けるところから始まる。高鳴る胸を押さえつつお重の蓋を開けるや、そこにあるのは小宇宙。照りっ照りの神々しいお姿に唾を飲み、心静かにお箸を入れる。驚愕はその瞬間から、始まった。お箸から伝わる"ふっくら感"、"ふわっと感"が全然違う。湯気と一緒に立ちあがるのは、とても上品でまろやかな香り・・・。    

これが、3代目店主・重剛さん自慢の鰻、「坂東太郎」との出会いだった。身はふっくら、とろり、ふんわりと口中に溶け、脂はどこまでも甘く、香ばしくパリッと焼かれた皮のちゅるんとした食感も抜群だ。白身魚独特の優しい味わいをしっかり感じ、あっさりとしたタレが素材を見事に引き立て、臭みもくどさも皆無。表現するなら、上品で繊細、清らかな鰻。ああ、「何、これー!」って叫びたい。  

これが養殖でありながら、餌と水に最大の配慮がなされ、天然の風味に限りなく近づいた「坂東太郎」の実力だった。

老舗の卸業者「忠平」から特別なルートで供される、近隣ではほとんど食せない貴重な鰻。これを重剛さんは注文を受けてから、割く。そうして串を打って焼いて、時間をかけて蒸して、タレをつけて焼いて供してくれる。「時間はかかりますが、味とふっくら感が違うので」とサラリと笑うが、何と贅沢な鰻体験がここでは可能なのだろう。

双璧をなす、厳選された国産鰻もピカイチ

通常の鰻も素晴らしい。重剛さんは店を継いだ5年前に、使用する鰻をすべて九州・大隅産に変えた。「単に、自分の好みですよ」と事もなげに笑うが、それこそ「身はふっくら、皮はほどよく溶けて、甘いがさっぱり目のタレとの相性がいい」という、重剛さんの供したい鰻だから。  

同じ鰻重でも、こちらは身と脂と皮が渾然一体。とろとろ、ふっくらの身は脂と一緒にあっという間に口中でしゅわっと溶け、タレがしみ込んだご飯と分離せずに一体化。もはや、ひたすらかっこむのみ。「坂東太郎」よりこってり、しっかりした味わいで、ガッツリ鰻をかっこみたい時は、こっちかも~と思う。ああ、深い悩みに突き落とす「双璧」だ。

「自分の形を表現して、それで美味しかったって感動してもらえれば」と重剛さん。だから手間を惜しまない。焼き台の上で何度も何度も鰻をひっくり返す手間は、鰻の身から噴き出してくる脂で、芯から焼きあげるため。それこそ蓋を開けた瞬間の「感動」のためには、無くてはならないものだから。

もちろん2枚看板の天ぷらも、ごま油を配合した油で、香ばしくカラリと揚げる。サクサクした食感は、さすが、50年の老舗ならではの味。「うちのメニューって、昔から変わってないんですよ」と笑うように、刺身、蒸しもの、焼き物、酢の物と、日本料理の全てをカバーするのも老舗の風格。酒匠の重剛さんが厳選した、日本酒や焼酎も秀逸だ。

創業者である93歳の祖母・松江さんが毎日お店に立ち、女将である母・京子さんのほがらかな笑顔は花のよう。こんなアットホームな老舗は、全国探してもそうはない。

50年という老舗の土台の上に

いろいろな"ハジメの一歩"

焼き台の上で、何度も何度も鰻を動かす。これが鰻とタレの特徴を生かし、鰻の美味しさを引き出すための「百扁返し」。こうして、くぼたの鰻の特徴である「照り」を出すという

焼き台の上で、何度も何度も鰻を動かす。これが鰻とタレの特徴を生かし、鰻の美味しさを引き出すための「百扁返し」。こうして、くぼたの鰻の特徴である「照り」を出すという

「くぼた」の創業はおよそ、50年前。お店では「ママ」と呼ばれる重剛さんの祖母・松江さん(現在93歳!)が、小料理屋をオープン。当時は、料理屋とともに、米軍の将校さんが宿泊をする旅館もやっていたという。

この店に「鰻」と「天麩羅」という2大看板を打ち立て、個性を確立したのが松江さんの息子、2代目の重信さんだ。ここで、「くぼた」は、新たなスタートを切ることとなる。重信さんは「営業部長」として、店の周知に飛び回る。そのおかげで「くぼた」は、福生では知らない人はいないほどの名店となる。  

この跡を継いだのが、3代目の重剛さんだ。ここで「くぼた」はまた、新たな始まりを迎える。重剛さんは手ぬぐいを頭にキリリと巻き、作務衣姿で厨房に立つ。経営者でありながら、自ら料理を作って供すという「職人」の道を選んだのだ。  

鰻の匂いと共に育ったといっても過言ではない。「もともと鰻は大好きだったけど、店を継ぐとは積極的に思っていたわけではなかった」と振り返る。とりあえず入ったのが、調理師学校。「もっと遊びたいでしょ」と真面目一徹の姿に、お茶目な一面が顔を出す。  

あらゆる意味で勉強になったのが、社会福祉協議会に就職、デイサービスで料理を作ったことだった。栄養士に「怒られながら」、いろいろなことを学んだ10年。料理はすべて手作り、お菓子も作った。何よりお年寄りに喜んでもらえることが喜びだった。  

そしていよいよ、店を継ぐとなった時、ひょんなことから出会ったのが「蒲焼屋学校」だった。

すべては、蒲焼屋学校から

"割き8年、串打ち3年、焼き一生"と言われる、鰻の世界。まだまだ、これからと重剛さん。今後は天ぷら、お刺身等を充実、お酒と料理をゆったり楽しんでもらいたいという

"割き8年、串打ち3年、焼き一生"と言われる、鰻の世界。まだまだ、これからと重剛さん。今後は天ぷら、お刺身等を充実、お酒と料理をゆったり楽しんでもらいたいという

蒲焼屋学校というものがこの世にあるのが、驚きだった。これは「坂東太郎」の卸業者「忠平」が、蒲焼職人を育てる養成所だ。場所は、千葉県銚子市。重剛さんは妻子と離れ、一カ月泊まり込みで、蒲焼の工程を一から学ぶ。たまたま一緒に学んだのは同じ、鰻屋の息子たち。ここでいろいろなネットワークを得、いろいろな鰻屋を見る機会も得たことも大きかった。もちろん、このルートから特別に「坂東太郎」を仕入れることができたのだ。  

店を継ぐからには、いい店にしたい。この5年、その一念でやってきた。キレイで清潔、落ち着ける雰囲気で「食べて感動してもらえるような、その感動を何より表現したい」と。その表現のひとつが鰻であり、「感動を与えられるような鰻」を提供することに心血を注いできたのだ。  

「それもこれも、店の土台があったからだと思います」と重剛さんは言う。祖母と父が作ってきた土台があればこそ、そこに自分の形を加えることができるのだ。「もともと、うちの串は関西風の長い金串なんです。これは何度もひっくり返すのにちょうどいい」と伝統を受け継ぎ、「継ぎ足し継ぎ足し使っているタレは、西多摩の気候風土を反映してちょっと甘めですが、それを甘いけどさっぱりと自分の形にしていきたい」と変化も呼び込む。  

今後、もう一つの看板「天麩羅」にも新風を吹きこみたいと重剛さんは目論んでいる。お刺身やお酒を充実させ、鰻以外の料理も本格化したいと。  

3代目が引き継いでまだ5年、これからどのような「始まり」がお店を彩ってくれるのか、ますます目が離せない、福生自慢の老舗中の老舗だ。

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