お店訪問
補聴器のハードルは高くない

一人一人異なる、"聞こえ"の状況
野呂さんは「とにかく、気軽に立ち寄って」と呼びかける。まず「記録カード」に沿って丁寧に状況を聞いた上で、聴力検査を行い、聴力のデータをもとにその人にあったタイプの補聴器を選んでいく。難聴の程度、仕事の有無等、その人その人の生活状況も踏まえ、最も合った補聴器をお客と一緒に探して行く。補聴器のタイプを決めれば、その人その人の聞こえの状況に合わせて、細かくパソコンで機能を調整する。
「お店は静かですが、家に帰ってからどうなのか。高い音が響く、紙の音がうるさいなど、付けた後にいろいろ不具合が出てきますからその都度、その都度、調整します。お家に伺ってお家の生活音を踏まえ、調整することもあります」と野呂さん。出張料含め、アフターケアのお金は一切取らないと聞き、またびっくり。つまりお客が払うのは、修理の部品代などを除けばほぼ、補聴器代のみといっていい。何と良心的な対応なのだろう。
「お客さまが補聴器を付けた時、『あー、聞こえるー!』とうれしそうにされる。そのお顔を見るのが喜びです。補聴器は安い買い物ではないですが、細かく調整していけば10年でも15年でも使えます。そのためには、いくらでもお付き合いをしますよ」と野呂さん。娘のよう、孫のようと高齢者から頼りにされ、「ここに来て、よかった」と喜ばれるのも、野呂さんの飾らない人柄と誠実な仕事ゆえのこと。
そうか、だからここはあたたかい日だまりのような、居心地のいいサロンなのだ。躊躇している多くの高齢者に、心から「ぜひ、扉をあけて」と声をかけたくなってくる。

耳の後ろにかけて使うタイプ。小さくて軽く、性能も多彩。いろいろな色がありカラフルで、おしゃれ感覚で装用できる










人は誰でも、年齢とともに聴力が下がるのがほとんどだという。とはいえ聴力に不安を感じたとしても、補聴器をつけるとなると、最初は尻込みをしてしまうのではないだろうか。老いた感じもイヤだし、補助を受けることで本来の機能が弱まるのではという思い込みもある。そう、それは思い込みに過ぎなかったことがお店に来ればよくわかる。
青梅線沿線で唯一の補聴器専門店としてオープンし、今年で10年。修理などすぐに対応できる利点をもつ国内メーカーである、リオネット補聴器の専門店だ。
店長の野呂さんは若いながらも補聴器技術者として20年近いキャリアを持つ、飾らないさばさばとした笑顔が気持ちのいい女性だ。「我慢すると、逆に聴力が落ちるんです。脳への刺激が減り、言葉の明瞭度も落ちてきます。補聴器できちんと音を聞かせてあげることで、聞こえがいい状態が逆に続いていくのです」と聞き、びっくり。目からウロコとはこのことだ。つまり、積極的に補聴器を利用した方が後々のためでもあるのだ。