家族一丸、地域のイチバン店を目指して
48歳の独立、"違いのわかる自転車専門店"開業

いいものを長く乗るというのは、よくよく考えれば割安と浩さん。真面目に組んだ自転車は乗ってみると本当に良さがわかるという
一台、一台丁寧に売るということ
「多摩川沿いを走るのか、登山道を登りたいのか、健康保持か、大雑把でいいですからイメージを伝えてもらえば、どんな車種がいいのか、2時間でも3時間でもとことん説明します。専門家として最適な選択ができますから」と浩さんが胸を張る。決まれば、お客の乗りやすい車に仕立てていく。「乗ってみると、本当によさがわかりますよ」と、創業以来一貫しているのは、お客に喜んでもらえること。だから一台、一台丁寧に売ることが、サービスの基本だ。売った以上、一人ひとりの自転車ライフの懇切丁寧なパートナーとなる。
何と、「クラブ遊輪館」というサイクリングクラブまであるという。「お客さんとどっか行こうって始めて、57歳まで草レースに参加してたよ」と武夫さん。現在の会員は30~40名。毎週日曜には奥多摩方面などへ80~100kmぐらい走るという。中学生日本一を輩出したほどの実績もあり、こうして固定客が、遊輪館のファンと化していくだろう。
客層は、決してスポーツバイク愛好者だけではない。子どもからお年寄りまで幅広い。「あのおばあさん、『あたしゃ、老い先短いから安いのでいいよ』って来たから、『いいえ、いいものを長く乗ってください』って勧めたら、あれから13年、80歳でまだ乗ってるよ」と、武夫さんは実に楽しそう。
「"トラック一台分の薬より、自転車一台"って言うほど、自転車は身体にいいんだよ」と武夫さん。「いろいろな発見があるのが、自転車の魅力かなぁ」と浩さん。ここには、自転車へかけた親子鷹の夢がぎゅうぎゅうにつまっている。まさに、その店名こそ、全てを物語っているではないか。

自転車は全身運動に最適。ゆっくりのんびり風を切る。
自分に合った自転車なら長い時間乗っても疲れないという。
自分に合った自転車なら長い時間乗っても疲れないという。










「ウチはよく、3店舗あるって言われるんだよ」と父が笑う。父・武夫さん(68)、長男・悟さん(40)、次男・浩さん(37)がそれぞれ、独自の個性を持つからだ。妻であり母である房江さん(73)が経理部門を担当、創業以来、店は家族の絆で育まれてきた。最近はここに、メカニシャンとしての渡欧を目指す塩野谷聡さん(26)が加わった。
遊輪館の創業は、今から20年前。48歳の武夫さんが自転車メーカーの営業から脱サラし、独立開業したのが始まりだ。高校生の次男が「僕もやりたい」と手をあげたのは、全く意外だったという。「3年後に何でもいいから、地域のイチバンになろう」と目標を立て、「違いのわかる専門店」を目指す。イチバンへのアツい思いは、作業場のような自転車屋のイメージを一新した、明るくきれいな店舗づくりに強く現れた。
大学を卒業した次男に続き、大手自動車メーカーに勤務していた長男も店に参加。「オヤジがメーカーに長くいたのがプラスでしたね。都内の有名店で働けたのは、技術や知識を得る上で大きかった」と浩さん。ターゲットをスポーツ車中心の品揃えにしたことで、マウンテンバイクブームと相俟って、福生でも1,2を争う店へと成長した。