お店訪問
本当に美味しいパンを提供するために

発酵の美味しい香りって?
ちょうどブリオッシュの生地を作っているところだった。「小麦粉に対し、発酵バターと卵がそれぞれ50%」とは、贅沢すぎるぅ! 焼きあがった<キャラメルコロン>に顔を近づければ、いい香りがスーっと胸の奥まで入ってきた。それはもう、感動的なまでに。
ショーケースに並ぶパンはどれもこれも、平岡さん自慢の強力な布陣。長年の経験から、<美味しさのための組合せの原則>があると平岡さんは言う。イチオシの<いちじくパン>は「食感のバランスがミソ。外側はパリパリ、中はもっちり。いちじくのプチプチ、クルミのサクサク、そこにレーズンの甘みが・・」と、すべてのパンに"物語"があり、平岡さんが美味しいなと思った組合せが貫かれている。定番の食パン<プリンス>だって、「生クリームを少し入れて、旨みを強調しました。独特の美味しい香りがしますよ」とのこと。
「パンは生き物」と、平岡さんは強調する。その日の気温や湿度で、扱いを微妙に変え、人間が寄り添うことでいい発酵ができたパンは、「発酵の美味しい香りがする」のだそうだ。それはどんな匂いだろう。"発酵の香り"を知ればきっと、<be on cloud 9>間違いナシだ。

これが希少な、国産ライ麦。電動石臼で何度も挽いて粉にする。手間はかかるが、味にこだわりたいゆえのこと。










店名は、英語のことわざ「be on cloud 9」に由来する。9つある雲のてっぺんに昇った気分、つまり幸せな気分を意味するという。それは、どんなにスカッと突き抜けた喜びか。ユニークな楽しい店名だが、親しみやすさのためにはカタカナ表記も欲しいところだ。
パンの世界に入って25年、店主の平岡さんはこの7月、長年勤めたパンメーカー「サンジェルマン」を辞め、自分の店に夢を託した。「お客さんが食べた時に"あぁ、美味しいなぁ"と思えるパンを作っていきたいのです」と、夢を語る笑顔があたたかい。
「"そこそこ"のパンなら、手間もコストも楽。でもそれじゃ、<be on cloud 9>にならない。どこまで手間とコストをかけられるか」と平岡さんは葛藤する。「発酵バター」にこだわるのも、値段は高いが「本当に美味しいバターの風味がある」からだ。希少な国産ライ麦を自ら石臼で挽くのも、「大変なんですが、美味しい香りが出るのでヨシとしよう」とすべての基準が、お客の<be on cloud 9>。「本当のパンの美味しさをわかってほしい」という、平岡さんのアツ~い思いが、すべてのパンにギュッとつまっている。