夢見るのは、美味しいパンがもたらす、ささやかな幸せ
パン職人事始

好きなパンを作っていられるのは幸せと平岡さん。パン作りの原点に戻った今、毎日が工夫と進化の連続。新製品が続々、店頭に登場中だ。
幸せな気分に浸る、とっておきレシピ
店頭に並ぶそれぞれのパンに、それぞれの食べ方とストーリーが組み立てられると平岡さん。ご自身、美味しいものを食べることが好きなればこそのうれしい提案だ。
フランスパンは、焼立て(焼き上がり11:30)をザクザク切り、無塩バターを塗って食べるのが、とにかくイチバン。1cmぐらいの薄めに切って、ガーリックバターの上にパルメザンチーズをふり、オーブントースターで焼けば、パスタ(とりわけ、バジルのきいたトマトソース)の付合せに最高という。「休日のブランチにいかがですか。家族がいて、そしてここに赤ワインがあれば、それだけでささやかな幸せなのでは?」と平岡さん。
ライ麦パンには、味の濃い肉が合うという。「ローストビーフやペッパーハムなんか最高ですよ。クセがある肉と、そしてここにも赤ワイン」、想像するだけでもはや忘我の境地だ。今後、美味しい組合せをいろいろ提案していきたいという平岡さんに、心から拍手を送りたい。
ここで、お得情報を紹介しよう。平岡さん絶賛、手作りの「マダム・アリーンの南仏風クリームチーズペースト」(ここでしか買えない)は、まさにバツグンの逸品。ライ麦パン(香りがとてもいい)と赤ワインで、「あたしゃ、もう何も要りません。こんなに幸せです」になることを請合おう。

これぞ、ここでしか買えない絶品ペースト。限定商品ゆえ、急げ!










食品関係の大学を卒業した平岡さんは、大好きなパンを作りたいと「サンジェルマン」に入社した。パン職人の朝は早い。始発電車で通う、肉体労働の日々。見よう見まねで作った生地は、焼く前に先輩に捨てられる。それでも「製造技術を学ぶのが楽しかった」と平岡さん。
パンは、イーストという生き物相手。「1+1=2の世界じゃないんですよ。ご機嫌をそこねるとうまく行かない。今日は80点の出来とか、毎日が違うんです。そこが面白かった」と笑う。全体が見渡せて、気温などの変動要素に従い、感覚的に微調整ができるようになるまで3~4年はかかったという。
当時のサンジェルマンはチェーン展開真っ只中。社内にやる気がみなぎり、エネルギッシュだったという。平岡さんは25年の勤務の中で、製造から管理まで一通り、いろいろな現場を学ぶ。退職時は、大型店舗の店長だった。「70名の人間を使う、毎日がエキサイティング」の日々から、たった一人で厨房に立つ毎日への転身。それは自分が考える美味しいパンを作って、お客さまに幸せを提供していくという、夢を実現するための決断だった。