福生・Fの店は「お客様目線で考える」お店。お買い物や、お食事、暮らしを楽しくするハナマルブランドです。
このHPはプロのライターが取材して各店のこだわりを紹介します。
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最高の状態で供される蕎麦と酒肴で、至高のときを
ソバ・シュコウ シコウアン

蕎麦・酒肴 志向庵

「一打入魂の蕎麦」に、自信があります。
住所
福生市志茂68
TEL
042‐551-2843

くつろぎの豊かな時間を提供したい

伝統食・蕎麦を、もっと若い世代にも

椅子席は個室となっており、人気が高い。他に宴会に対応できる座敷席もあり、さまざまなイベントに使われている

とにかく、蕎麦が好きな一家だった。父・修一さん(61歳)と母・文子さん(61歳)と3人で、暇があれば各地に蕎麦を食べに出かけた。やがて、自分たちの食べたい蕎麦は自分で打つしかないということに気づく。見よう見まねで仲間や町会に振る舞ったところ、大好評。ならば蕎麦屋を開業しようと、修一さんは仕事を辞め、修行に出た。この時、敬一朗さんは高校生。やがて自分も、蕎麦打ち職人になることを決意する。父は考えた。

「普通にやっていたなら、他の蕎麦屋にはかなわない。だからお互い、違う流派の店に修行に出よう」

父と息子はそれぞれのノウハウを学び、切磋琢磨していく。思いは一つだ。

「一つのやり方に固定する必要はない。いろんなものを取り入れていこう」

当初、青梅市の吉野街道沿いに開業しようとしたが、地元の仲間に引き止められた。「ここで、やれ。よそに行くな」と、寄せられた熱い思い。そこで急遽、自宅を改装してのオープンとなった。店名には「みんなの心が向かい、来てくれるところ」という意味を込めた。

「目指す蕎麦は素朴だけれど深みがあって、喉越しがあって、香りが高いもの。とにかく、喉越しがよくないと、うちはだめ」と母の文子さん。

そのために蕎麦粉を厳選し、水にこだわった。店内の水はすべて、蕎麦打ちだけでなく出しにも調理全般にも特別なイオン水を使う。

しかし何より、蕎麦打ちだ。

「黒い粒は<星>と言って、甘皮を敢えて入れてるんです。香りがいいし、旨味のもとになる。だけど、入れれば入れるほど打つのが難しい。自分は父と違って、生地を引っ張らない打ち方をします。それが、滑らかな喉越しに繋がるから。毎日、コンディションが違うものを、どう制圧するか。これだと満足するものが打てないのが、蕎麦の魅力ですね。日々、探求です」

店の何よりの強みは、打ち手が二人いること。ゆえにその日の分の蕎麦をすべて打つ「打ちだめ」をせず、「追い打ち」をして、打ち立てを出せる。時間が経てば、蕎麦の品質は落ちる。つまり客は、最高の状態の蕎麦を食べることができるのだ。

「美味しい蕎麦を打って、伝統食である蕎麦をもっともっと、若い世代に食べてもらいたい。ファミレスに行くだけでなく……」

故に、家族連れ大歓迎。子どもは将来の重要なお客さま。小さいうちから本物を食べれば、ジャンクフードにはきっと流れない。栄養価的にも見直されている蕎麦を、究極の形で味わえる貴重な店だ。

地元に支えられての12年、福生のためにも貢献したい

風格ある門をくぐり、石畳を進み、玄関を開け、靴を脱いだ時からくつろぎの時間が始まる。日本建築の美を味わう、格調高い雰囲気の中、ゆったりと食事を楽しめるのも志向庵の大きな魅力だ。松の一枚板のテーブルが置かれた椅子席の個室は、会合やお年寄りに好評だ。一方の蔵席は、気軽に女性のおひとりさまでもリラックスして昼酒が楽しめる場所。宴会にも対応できる座敷席もある。

「飲食店とは、お客さまの時間をお預かりすると思うんです。だからいかに、店で過ごす時間が幸せで、至福の時となるように目指しています」

その至福のひとつに地元客が虎視眈々と待ち受けている、春と冬限定の「桜えび」がある。静岡県由比漁港直送の桜えびのかき揚げこそ、志向庵きっての名物料理だ。

「皆さん、桜えびの旗が揚がるのを待っていてくれるんです。生で食べられるえびだから、あまり火を通したくないんです。中は半生で、外はサクッと揚げる。現地で食べるより美味しいって言われますね」

待ちわびる客続出というのも、一口で納得。サクサク、カリッとした衣は重さを微塵も感じず、ふわっとしたえびの食感、甘さが口中に広がった瞬間、「あ〜、幸せ〜」という思いが込み上げてきた。

「地域の皆さまに支えられて、ここまできました。これからは福生がもっとよい街になっていくために、この志向庵もその一つになれればと思っています」

森田さんには、忘れられない言葉がある。「今までで食べた蕎麦の中で、一番美味しかったよ」という客の感想こそ、仕事の醍醐味でありやり甲斐だ。そう思って店を後にする客は、間違いなく相当数いる。

志向庵きっての名物「桜えびのかき揚」(580円)。サクサクとした食感、ふわっとしたえびの食感とともに、新鮮なえびの甘さを堪能する絶品かき揚げだ
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