お店訪問
包丁握って53年、料理人の矜持に貫かれた店

これが自慢のだし巻き玉子、500円。一度ぜひ、賞味あれ。感激の逸品だ。
誰でも、すぐに常連に
オープンは平成9年。「大将のやさしい味を、皆さんに少しでもわかってほしくて・・」と、ママ=京子さんの強い思いゆえのことだった。そして店の名は恋女房の名前から・・。
店内は全体が畳敷きの空間で、のれんをくぐるとまず玄関で靴を脱ぐ。まるでどこかの家にお邪魔するかのよう。常連さんたちは一様に、「まるで家に帰ってきたような・・」「ほっとできる家庭的な店」と口にするが、もちろん、京子さんの明るい笑顔あってのこと。居心地がよくて、「誰でも、すぐに常連になれちゃう」という懐の深さこそ、大きな魅力だ。
開店当初から行っているランチタイムは、メインメニュー以外に小鉢3品が選べ、デザート、コーヒー付きで1000円。破格のサービスに、「心」を感じざるを得ない。「大将の煮物は、本当に美味しいの」と、しみじみと京子さん。その店の味は、煮物でわかるというのもまた真理。ならば、至福の楽しみが、ここ福生駅前に待っているということだ。

ランチタイムは圧倒的に女性に人気。「美味しくて、キレイで、バランスもよくて、毎日でも来たいです」と絶賛の嵐。










店主・阿部三千男さんは必ず、白衣にネクタイという姿で客の前に立つ。昭和25年、銀座の一流割烹からスタートした、料理人としての矜持がここに如実に現れている。寡黙で多くを語らない職人肌の店主が、「料理とは、その人の心、しかないんです」と教えてくれた。心とは、相手を思いやること。その気持ちがあって初めて、料理は成り立つのだと。
だから、まず素材を吟味する。四季折々の野菜や魚介類は、経験に裏打ちされた確かな目で、厳選されたものばかり。採算度外視し?と思えるほど、そこに妥協はない。
イチバンの楽しみは、毎日のおすすめメニュー。この日は「特大 岩ガキ」(1000円)、「川ハギ刺身 肝つき」(1500円)、「白子」(800円)等々、酒呑みの勘所をしっかり押さえた垂涎の肴がズラリ。定番の人気メニュー「だし巻き玉子」(500円)は、驚きのボリューム、ふわふわ、しっとりの味わいは感激ものだ。運がよければ、裏メニューに遭遇も・・。
極上の多種多彩な酒肴に、伴走するのは選りすぐりの銘酒たち。杯を重ねつついつしか、「いい居酒屋を知ることは、大事な財産なんだなぁ」という真理に行き着くのであった。